6.15.2012

Android vs iOSの背後を覗く

Android多国籍軍が量的に世界を席巻する中、iOSは利益的、質的に世界を席巻している。Androidは、多くのメーカーが独自の外観やデザインをもたせ、かつ、アプリに固有のものを入れているために、あるいは、iPhoneに比較して、Android搭載スマートフォンは画面が大きいために、特にスマートフォンの初心者には受けやすい。しかし、質的には、iOSの優勢は続く。質的な相違をもたらすのは、Appleが世界一の企業で、使える資金が潤沢にあり、かつ、出荷されている製品が極めて少ない、という点にある。つまり、他のメーカーの場合、スマートフォンだけに限らず、家電など他にも多くの製品を出荷しているために、それとのバランスの中で、開発資金が回される。Appleと戦っているだけではないのだ。他方、Appleは、それらのメーカーと比較して、極端に出荷製品が少ない。それでいて世界一の金持ち企業だ。そうすると、1製品に回せる開発資金は莫大なものになる。ちょっと見では、カラフルにまどわされるAndroidスマートフォンやタブレットだが、数ヶ月使って飽きられてしまう原因の多くはそこに隠れている。Androidスマホを1号機に購入したコンシューマの多くが2号機ではiPhoneに変えている現実をみてもこのことが分かるだろう。

さらに、企業側がiOSを採用する流れが強い理由は、iOSの一貫性という点にある。Androidでは、各メーカーがOSのバージョンをどれにするかを選択している。したがって、機種によってOSのバージョンがばらばらな上、メーカーごと、モデルごとに仕様が異なっている。この一貫性のなさが、コンシューマの選択肢を増やす原因となっているのは皮肉なことだ。さて、その一貫性のなさは企業にとっては困る原因となる。というのも、スマートフォンを企業システムに取り込んでいく場合には、その整合性や一貫性が大切なことになる。たとえば、自動車メーカーならば、このメーカーのこのモデルのスマートフォンならこの自動車と相性がいい、では困るのだ。これでは、すべてのメーカーのすべてのモデルをいちいち検証する必要があるためコストや手間が膨大となる。OSの一貫性のなさは、OSのフラグメンテーション(断片化)の問題として、今後、Androidの利用価値を半減させるものになる可能性がある。特にグローバル化が進む中で、一貫性というのは、今後の大切なキーポイントになっていくことは疑いないことだ。この点、ハードウェアとOSソフトウェアを1社でまかなうAppleは強い。

0 件のコメント:

コメントを投稿